2014年 7月10日(木)
サッカーW杯の決勝戦、ドイツの相手はアルゼンチンに決まりましたね。
過去の大会ではドイツが勝利しています。
リベンジなるか?楽しみです。
台風が近づいて来てます。
勢力が弱まったといえ、やはり心配です。
週末のお楽しみに影響がないといいですね。
さて、今日は北陸の鉱山のお話です。
※ 画像の切り絵 : 岩田長峯
『 有峰の花の精 』
今は昔。
越中と飛騨の境の山の中、
有峰というところに、鉛の出る鉱山がありました。
鉱山では、たくさんの男たちが働いていました。
掘り出された鉛は、何十頭という牛が、富山まで運び出します。
牛の行列はいつも長く続きました。
ある年の春のことです。
その日は、特別たくさんの鉛を運ぶことができました。
鉱山のかしらは満足して言いました。
「 きょうは、これから祝いの酒盛りじゃ、みんな集まれ 」
「 酒じゃ、ウドじゃ、ヤマメじゃ。 さあさ、みんな、どんどんやってくれ 」
「 ごっそさんです。いただきますちゃ 」
酒盛りが始まりました。
鉱山の男たちは、あっちこっちの町や村から集まってきています。
酒に酔ってくると、
それぞれがお国自慢の歌を歌い、踊りました。
にぎやかなものです。
その酒盛りのさいちゅうです。
誰も見たこともないような美しい娘が三人、突然宴の席に舞いこんできました。
不思議なことに、娘たちが舞うと、
なんとも言えない、いい香りが、辺りに広がります。
美しい声で歌っている歌は、聞いたことがないものでした。
「 こりゃあ、どうじゃ。 まるで天女のようじゃ 」
かしらが、うっとりした声で、言ったものですから、
みんなも夢みごこちで、すっかり娘たちに見ほれてしまいました。
白い衣に、白いかんざしの娘。
紫の衣に、紫のかんざしの娘。
紅の衣に、紅のかんざしの娘。
三人は、まるでチョウのように、
もつれたり、離れては、また、駆けよったり。
男たちは喜んで、手を痛くなるほどたたきました。
やがて、一人の男が立ち上がると、
酒によった勢いで、娘たちの中にわりこんで、踊り出しました。
よいよい、よーいとな。
よいよい、よーい、よーいとな。
酔った男の目はとろんとして、
こんにゃくのようにふらふらとした足取りです。
男は紅のかんざし娘の手を取ろうとしました。
すると、どうでしょう。
あっ、という間もなく、三人の娘の姿は、かき消えてしまいました。
みんなは、キツネにつままれたように、顔を見合わせました。
「 ふしぎなこともあるもんや。
いったい、あの娘たちは、どこへ消えたもんかの 」
白い衣の娘は、ミズバショウの花。
紫の衣の娘は、ヤナギランの花。
紅の衣の娘は、クマガイソウの花。
そんなことがあってから、鉱山からは鉛がとれなくなってしまいました。
鉱夫たちは、のこらず山から下り、山はさびれ、やがて閉山したそうです。
今でも、
「 三人の花の精たちは、有峰の守り神だったんや。
山の男に悪さされたんで、おこって鉱山もつぶしてしもうたんじゃ 」
と、うわさされているということです。
(石川・富山 ふるさとの民話 より)
話にある鉛鉱山は実在するのだろうか?
※ 富山市大山歴史民俗資料館HP ↓
このあたりかな?
クマさんの生息地ですね。